(写真:みんなの株式)/>
週明け10日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比354円高の3万9038円と反発。ようやく3万9000円台にたどり着いた。しかし、岸といえるのは4万円大台でまだまだ距離がある。上陸するにはもうひと泳ぎしなければならない。
前週末7日の日本時間夜9時半、つまり米国株式市場の朝方取引開始前に発表された5月の米雇用統計は、相場の波乱要因となっても不思議のない内容だった。ここ米国の経済指標は一様に景気減速を指し示す内容であったことから、おそらく今回の雇用統計もそれを裏付けるような数字が並ぶかと思いきや、非農業部門の雇用者数の伸びは事前コンセンサスを大幅に上回る27万2000人となった。更に平均時給も予想を上回り伸びが加速する結果に。冷静にみれば失業率の方は上昇しており、労働需給がタイト化しているともいえないのだが、カナダ中銀、ECBに続き、FRBも利下げのカードを切るタイミングが近づいているという思惑に水を差す形となったことは確かだ。ところが、米株市場は雇用統計の結果を至ってクールに受け止め、米長期金利の上昇などどこ吹く風で取引時間中はダウ、ナスダック指数ともにプラス圏で推移する場面もあった。両指数ともマイナス圏で引けたとはいえ少なくとも弱気優勢の地合いではなかった。
週明けの東京市場では外国為替市場でドル高・円安方向に振れたこともあって半導体関連株が買い戻され日経平均の上昇を後押ししたが、値上がり上位業種を見ると保険、銀行、倉庫、非鉄、自動車、鉄鋼などのバリュー株が目立ち、グロース系銘柄からの資金シフトが静かに進んでいることをうかがわせる。東証が毎月15日をメドに発表している「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業リストが注目を集めるなか、低PBR株の資金誘引力が増している。もちろん、成長投資や株主還元など低PBR脱却に向けた経営努力を見込んでの流れであり、東証号令に歩調を合わせるアクティビスト(物言う株主)の存在も株高に向けた思惑に一役買っている。
8日にアップされた株探トップ特集「低PBR特選10銘柄」でも紹介された安田倉庫
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