経済評論家 杉村富生/>
「アップルファミリーに妙味膨らむ!」
●やはり、有効な「小判ザメ戦法」!
ナスダック指数は4日連続の史上最高値更新である。アップル、エヌビディアが牽引している。AI(人工知能)、生成AI、ChatGPTなど新産業革命を象徴する企業群だ。やはり、巨大IT企業は強い。この流れは日本市場にアップルファミリー(部材供給企業)を軸に、好影響を与えるだろう。
先のFOMC(米連邦公開市場委員会)では予想通り、金利据え置きだった。さらに、3月時点の「年内3回」の利下げ予想が「年内1回」に修正されている。ウォール街には「年内の利下げはない」との見方がある。ただ、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長は7月利下げ開始をあきらめていないようだ。この背景には家計の消費不振がある。
アメリカの家計は家計資産160兆ドル(約2京4960兆円)が示すように、極めて潤沢だ。しかし、貧富の差が拡大し、かつインフレ、高金利が個人の購買力を奪っている。ディスカウントストアのターゲットは5月中旬に、5000品目の値下げを発表した。消費者が買い物を控えるようになっているのではないか。
実際、利下げ先送りとはいえ、10年物国債利回りは4.243%(13日現在)に低下した。半面、VIX(恐怖)指数は12ポイント前後と、低水準だ。SOX(半導体株)指数は上昇している。ナスダック市場には“追い風”だろう。なにしろ、マグニフィセント・セブン(アメリカ市場の時価総額上位7社)の時価総額は2450兆円超に膨らんでいる。
国際マネーはナスダック市場を抜きにしての運用など考えられない。それにBuy and hold(買ったら売らない)戦術だ。AI分野で先行するマイクロソフト、エヌビディア、メタ・プラットフォームズのMnMトリオの時価総額は1209兆円(1646社の東証プライム市場は951兆円)である。これには玉の吸い上げ効果があろう。
●TDK、村田製作所、ソニーグループなどを!
自社株買いはすごい。アップルは1100億ドル(17兆2700億円)、アルファベットは700億ドル(10兆9900億円)、メタ・プラットフォームズは500億ドル(7兆8500億円)だ。日本の場合、今年1~5月に設定された自社株買いの取得枠が前年同期比6割増の約9兆円と、年間の過去最高(昨年の9兆6000億円)に迫る、という。
しかし、単純な金額比較ではスケールが違う。ただ、日本企業は変わった。
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