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「ダイワ 金融新時代ファンド」は、5月末時点で過去1年間のトータルリターンが66.48%と国内株式投信(ETF、通貨選択型除く)で最も高いリターンをあげた。この水準は、「TOPIX(東証株価指数)」の30.13%はもとより、米国の「S&P500(配当込み、円ベース)」の41.75%や「全世界株式(オール・カントリー)(配当込み、円ベース)」37.15%を大幅に上回る。国内の金融正常化の動きが進展する中で業容拡大が期待される金融にフォーカスをあてたファンドとして注目される。
「ダイワ 金融新時代ファンド」は、国内株式の中から、金融ビジネスの拡大において成長が期待できる企業に投資する。主な投資銘柄は、銀行業や保険業、証券業やその他金融業だが、金融ビジネスを展開するIT関連企業や金融事業者の業務をサポートするシステム会社なども一部投資対象に加えている。ただ、5月末現在の業種別構成比率は、銀行業が59.7%と圧倒的に大きく、次いで、保険業が23.3%と、この2業種でポートフォリオの83%を占めている。
日銀は、今年3月の金融政策決定会合で「マイナス金利」、「イールドカーブ・コントロール」、「ETFの買い入れ」等の金融緩和策の終了を決定した。利上げへの転換を示す決定は、2007年2月以来、約17年ぶりのことになる。銀行業は、金利上昇局面において利ザヤの改善に伴う収益拡大の恩恵を受けやすい。米国においても、2022年以降に実施された大幅な金利引き上げによって、米銀の利ザヤが大幅に拡大し、銀行業の収益拡大が確認された。今後、金利が上がっていけば、利ザヤの拡大も期待できる。
さらに、「ダイワ 金融新時代ファンド」は、5月16日に迎えた決算のタイミングで同ファンドの運用環境に関するレポートを公表しているが、そのレポートで金融業に対する注目ポイントの1つにあげているのが「金融業の実績PBR(株価純資産倍率)は低位で、株価のアップサイドは大きい印象」という点だ。東証が2023年1月に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」から続いている資本効率改善策の強化に対し、国内金融グループも積極的な対応策を表明している。たとえば、2024年3月期決算発表に伴って大手金融グループが発表した強化策は、三菱UFJFG、三井住友FG、りそなFGが増配や自社株買い。三井住友FGは「個人投資家環境整備のための株式分割、政策保有株式の前倒し削減計画、採算性重視の業務運営姿勢」も発表した。みずほFGも増配のほか、海外事業の集積性拡大等によってPBR改善を進める旨を発表している。
このように金融事業者はPBRを改善するための施策に積極的に取り組んでいるにもかかわらず、株式市場での評価は進んでいない。同ファンドの組み入れ銘柄のうち、「PBR1倍割れ」の比率は2024年4月末時点で66%と同時期のTOPIX(東証株価指数)の24%と比較すると、非常に高い水準になっている。同ファンドの5月末時点のPBR(実績)は1.04倍、PER(実績)は14.58倍となっており、同時点のTOPIXのPBR(同)1.4倍、PER(同)17.9倍より低い水準であり、一段の水準訂正が期待される。
同ファンドに対しては、2023年半ば以降から活発な資金流入も続いている。2024年5月には月間で50億円程度の資金流入もあり、基準価額の上昇と相まって純資産総額も急速に拡大している。日銀は、6月に開催した金融政策決定会合で長期国債の買い入れ規模の減額の方針を決定。量的金融緩和の縮小とともに、次のステップとして利上げも視野に入ってきたとみられている。これらは国内の金融業には追い風になる。(グラフは、「ダイワ 金融新時代ファンド」のパフォーマンス推移)
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