7月29日、内閣府は公表した2033年度までの中長期の経済財政試算で、25年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が黒字化する姿を示した。写真は日本の旗。都内の日銀本店前で3月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)/>
Kentaro Sugiyama
[東京 29日 ロイター] - 内閣府は29日に公表した2033年度までの中長期の経済財政試算で、25年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が黒字化する姿を示した。仮に見通し通りとなれば、政府が掲げている目標年度内に初めてPB黒字化が実現することになる。前回1月試算(成長実現ケース)は1.1兆円程度の赤字見通しだったが、税収増や歳出効率化がPB改善に寄与し、8000億円程度の黒字を見込む。
中長期試算は内閣府が年2回公表している。歳入は23年度税収の上振れや経済動向を踏まえた基調的な税収増を想定し、前回1月に比べて1.6兆円程度上振れ。歳出については物価上昇率の上振れなどで0.4兆円程度の歳出増がある一方、歳出効率化努力で0.7兆円程度の効果を見込んだ。
同試算には岸田文雄政権が今秋に策定を目指す経済対策を織り込んでいない。
岸田首相は同日開いた経済財政諮問会議で「『経済あっての財政』の考え方のもと、まずはその前提となる民需主導の成長を実現するため、消費の回復に必要な物価上昇を上回る所得、賃金の拡大に向けた取り組みを確実に実行する」と強調した。その上で、生産性向上や官民連携した戦略的投資などで経済成長を確実にするとともに「財政健全化の取り組みを続けていく」と語った。
<目標達成、先送りの歴史>
PBを巡っては、小泉純一郎政権が01年6月に「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)で黒字化目標を掲げてから、達成時期は先送りされ続けてきた。
小泉政権が06年の骨太で掲げた11年度の黒字化目標はリーマン危機で棚上げされ、政権交代を果たした民主党(当時)が「遅くとも20年度」と、達成時期を後ろ倒しした。安倍晋三政権はPBを20年度までに黒字化させる目標を国際公約に掲げたが、衆院選前の17年9月に先送りを表明。翌年に、25年度とする目標に置き換えた。