(ブルームバーグ): 三菱UFJ証券ホールディングス(HD)が30日発表した2024年4ー6月期(第1四半期)の連結純利益(米拠点を含めた実質ベース)は、前年同期比14%増の185億円だった。良好な相場環境を背景に国内営業が好調。傘下の証券会社での顧客情報の違法共有の問題に関しては、今後、債券発行などの分野に及ぶとの見方を会見で示した。
部門別の経常利益は、好調な相場環境を受け顧客の投資意欲が引き続き堅調なことから、国内営業部門が前年同期比約7倍の92億円となった。ホールセール部門は、金利ビジネスの減収などで同11%減の253億円だった。
金融庁は6月、三菱UFJ銀行と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券に対して、グループ内の銀行・証券間での顧客情報共有を制限するファイアウオール(FW)規制違反で、金融商品取引法に基づく業務改善命令を出した。この問題に絡み、起債の主幹事から三菱モルガンを外す動きが相次いでいる。
山本慎二郎常務は30日の決算会見で、傘下の証券会社が行政処分を受けたことについて「改めておわび申し上げる。信頼回復に努めたい」と述べた。
一方で4ー6月期の業績への影響に関して「現時点で顕著な影響はない」とコメント。第2四半期以降は、「確定的な数字はなかなか申し上げられない」とした上で、具体的に影響が及ぶ分野として、債券発行や機関投資家の発注をあげた。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長は今月会見した際、主幹事から外されることなどによるグループ全体の業績への影響について「数十億円」との見通しを示していた。